エリート警察官の溺愛は甘く切ない
政略結婚
親が固い職業だと、子供としては困ることがある。

それは、いい歳をしてまだ結婚しないのか、ということだ。


「だから、まだ結婚したいと思う人がいないんだって。」

実家でお菓子をポリポリと食べる私は、いい訳ばかりしている。

「いい人の一人くらいいないの?」

「いたらとっくの昔に付き合っているよ。」


私の父親は、警察官だ。

しかも、結構地位が高い。

だが私は、普通の会社に就職した。

なぜ、公務員にならなかった?と言われたけれど、固い職業は嫌だからと答えておいた。


「紗良。もう30だろう。せめてお見合いしないか。」

「お見合い⁉」

私は驚きのあまり、お菓子をこぼしてしまった。

「父さんの上司が、息子さんの相手を探しているんだ。一度会ってみなさい。」

「それって、強制?」

「ああ、そうだ。」

心配してくれるのはいいけれど、強制的にお見合いって。

私は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべた。
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