本当は

　翌朝、礼に帰国していることをメールした。
　返信がしばらくなく、礼はメールはしてくれるが、これが帰国して会うとなると、まだ、俺のことを許せないのだろう、、、と若干マイナーな気持ちに支配された。

　「てるちゃん、、、」

　メールで、電話番号を送れと言われ、すぐに送ったその折り返しのように、着信音が鳴った。

　「礼、、、元気か？」

　「帰ってきたの？」
　
　帰ってきてはいけなかったのだろうか。
　沈んだ声の礼に、幾分の後ろめたさを覚えた。

　「元気か？おばさんが亡くなったことを知らせてくれたメールから、また、しばらくメールが来なかったから、いろいろと大変なのかと思って。」

　「そうね、、、、」

　「結婚式は、、、もうすぐだろう。お前の顔を見て、お祝いが言いたかったから、仕事に託けて帰国した。」

　本当は仕事なんか、何もない。

　「結婚しないかも、、、」

　「えっ！
　どう言うことだ、。何かあったのか。」

　礼の言葉に、俺は驚いた。
　沈んだ声の調子に、冗談で言っていないことは理解できた。

　「お義姉さんからは、口止めされていたのだけど、、、」

　電話口から、礼の静かな啜り泣きが聞こえた。
　自分の心臓が、大きく跳ねた。

　「お義姉さんからは口止めされていたけど、、、もう、ダメみたい。。。」

　「ダメって、何がダメなんだ！あやっ！」