清潔で、どこか柔らかな雰囲気もある緩和ケアの病棟のベッドに、美郁は横たわっていた。
 
 何て声をかけたらいいのか。
 静かに目を閉じている美郁の意識が、途切れているのか、覚醒しているのか、わからなかった。

 「タイミングが、、、悪い時に会っちゃったわね。。。」

 美郁がゆっくりと目を開けて、そう囁いた。

 「央さん、、、、」

 あの日以来、再び聞く、美郁が呼ぶ自分の名前。

 「私ね、、、もう、ダメなの。。。
 拡がおお、、、きく、、、なって、、、」

 美郁が辛そうに声を出す。
 もう、いいからと言いたかったが、美郁が微かに首を振って、そんな俺を制した。

 「はな、、、させ、、、て。」

 俺は、首を縦に振るしかなかった。

 「拡がおおき、、くなって、ます、ま、、、す、央さんそっくりに、、、なって、おおき、、く、、なるのを、そばで見たか、、、ったけど、、、無理みたい。

 央さん、、、自分のじん、、せい、を歩いて。
 と、、きどき、、、子供のこと、、を思い、、だし、、、て。

 拡は、、、拡には、、、愛し、、てくれる、、、人がたくさん、、、いるから。。
もう、み、、、ん、、なにお願い、、したから。。」

 「美郁っ!!拡は、拡は俺と美郁の子だ、、、」

 「。。。。。央さん、、、私、、、を哀れ、、まないで。。。大丈夫。。。」

 そこまで言うと、美郁は力尽きたように意識をなくした。