クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
突き止める
お昼時を迎え、私たちは改めて東雲先生の部屋に集まった。
所長と菜々子さん、先生たちがソファに、私はスツールに腰かける。
テーブルには、デリバリーしてもらったお弁当を並べてあり、早速皆で包みを開ける。
私は緊張から、ちょっとたどたどしく朝の続きを話した。


「なるほど。学生時代にアルバイトしていたところで、ネット不正使用ねえ」


ご飯を頬張り、モゴモゴと相槌を打つ中西先生に、頷いて応える。


「私のアカウントから、オンラインゲームとか、海外のコミュニティーサイトにアクセスされていたそうです。でも私は、インターネットはともかく、メールを使うことはほとんどなくて。海外とやり取りしていたと言われても、なんのことだか……」


割り箸を持ったまましゅんと肩を落とす私の斜め前で、東雲先生が顎を摩った。


「業務上横領容疑か。……本当かな?」


難しい顔で首を捻り、隣の中西先生に意見を求める。


「違うと思いますね。業務中にそんなものにアクセスを繰り返していたら、警察に通報するより先に、社内でバレて解雇されるでしょう。でも瀬名さんは、解雇勧告もなく、四年間勤務を全うして退職している」

「それに、警察が参考人に、手の内を明かすとは思えませんよ!」


中西先生の即答に、菜々子さんも大きく首を縦に振るけれど。
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