初恋幼馴染みに求婚されました
二度目のプロポーズ
宗君の横を歩けるなんて夢みたいだ。
しかも手を繋ぎ、まるでデートみたい。
そっと彼を盗み見ると、穏やかな瞳と視線と視線がぶつかった。
胸の鼓動が弾けるように音を立てるのは、今で何度目だろう。

「食事の前に梨華の服を買いに行こうか」

彼の誘いに浮かれ忘れていたが、白の七分のシャツに黒のチノパン姿はどう見てもデート向きではない。
これでは宗君に不釣り合いだし、おそらく予約している店では浮いてしまうに違いない。

途端に気持ちが落ち着かなくなり周囲が気になり始めた。

「家に一度戻ってもらったら大丈夫だけど……」

フォーマルな格好は、家に戻ればそれなりにある。
それに宗君はきっと購入するつもりだろうから、気が引けてしまう。

「戻ってたら時間が厳しい。途中で買った方が早い」

「うん……わかった」

私のために予約してくれたのだ、間に合わなくて行けないなんて失礼なことはできない。
それに、彼とゆっくり過ごせる時間を無駄にしたくない。
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