初恋幼馴染みに求婚されました
それぞれの想い
その日を境に、私と宗君は少しだけ夫婦っぽくなったと思う。

彼は、「おはよう」と「ただいま」と「おやすみなさい」の後に必ずギュッと抱きしめてくれるようになった。 

毎回温もりに包まれる度、幸せな気持ちになると同時、次を期待してしまう私がいるのは秘密だけど__。

花屋と敏腕営業マンの組み合わせだが、今のところ大きくすれ違うことがない。
父のアシスタント業務が入ってきた時や、彼が接待の時はそれぞれが遅くなることもあるし、出張で数日いないこともあるけれど、料理という課題を除いては平穏な日々を過ごしていた。

料理の腕をあげるため、可能な限り朝食、夕食とお弁当を作るようになってふた月半経った頃、宗君が「俺にも弁当作って」と、お願いをしてきた。

宗君からのお願いは嬉しい。
でも、料理上手な彼に作るとなると考え物だ。

初めて宗君に作った失敗作の生姜焼きは、彼がキムチを混ぜて豚キム炒めに美味しく変身させてくれたし、時々作る彼の料理は、見た目もよく味も美味しい。

一昨日の夕食に作ってくれたオムライスは卵を割くとトロリとした卵液が流れ出てきて、まるでお店で出てきそうなほどの完璧な出来栄えだった。

「すごい、すごい」と、感激と尊敬の眼差しを向ける私に「オムライスは得意料理だから」と、謙遜して言うところがカッコよく、ますます彼に惹かれ負けてはいられないと意気込んでいたけれど、彼のお弁当となると構えてしまう。
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