秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
第七章

 イザベラ様が刺客を放ったことを知り、必死になってアズフィール様の後を追った。だけどアポロンの飛行は速く、結局密林に着くまでに追いつくことはできなかった。
 やむを得ず、私とヴァーデン王子はアズフィール様の後を追って沢沿いに歩いて神殿を目指した。その最中、迂闊にも刺客と鉢合わせしてしまい絶体絶命のところを、颯爽と現れたアズフィール様が助けてくれた。
 目にも止まらぬ太刀筋で刺客を切り伏せるその姿は、軍神かと見紛うほどに凛々しく、私は彼の勇姿に見入った。同時に、言いようのない安堵が胸に広がっていくのを感じた。
 そうして気づいた時には、彼の胸に飛び込んでいた。
 本当は、アズフィール様を追ってくることは最善の選択ではなかったかもしれない。だけど、彼の命が危ないと思ったら、とてもではないが冷静ではいられなかった。彼の窮地に居ても立ってもいられなくなり、考えるよりも先に体が動いていたのだ。
 アズフィール様が無事で、本当によかった……!
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