不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
不安と愛しさの狭間で◇離婚成立まで23日

 二日間の連休を挟んだ後、私は出勤してすぐに佐藤くんをつかまえた。人気のない廊下の隅で改めて彼の告白をお断りし、それから斗馬さんの伝言を伝える。

「邪魔する者は許さない……とのことです」

 私の口から出ると、同じセリフでもなんだか緊張感に欠ける。斗馬さん、自分で伝えた方がよかったのではないだろうか。

「そんなこと言われたって関係ない。……って、ホントは突っぱねたいところだけど」

 佐藤くんは長い前髪にくしゃっと手を差し入れ、ため息をついた。

「妹を助けてもらった恩があるから、引き下がってやるって言っといて」
「佐藤くん……」
「こないだ、妹のこと怒鳴ったって言ったじゃん? あれから色々考えてくれたみたいで、事故のこと少しずつ話してくれるようになったんだ」
「ホント? よかった!」

 佐藤くんが嬉しそうに頬を緩めて語るので、私まで思わず笑顔になった。

 妹さんが立ち直ってきた証拠だし、佐藤くんと同じように彼女を心配していたお父さんも、喜んでいるに違いない。

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