「必ず君を僕のものにするからね、苺チョコちゃん?」
そう言って私の手を取る男は一ヶ月ほど前、派手に転けて眼鏡を壊した私を助けてくれた人だった。
しかしながら相手は、いまをときめくトップモデル。
そして私は社内一の地味女。
月とすっぽんくらい差がある。
さらに私は袴田課長とセフレ関係で、それは彼が結婚してからも続いていた。
なのに彼は強引に、私を振り回す。
あの、ブラックダイヤモンドのような、蠱惑的な瞳で私を見つめて。
「……ねえ。
僕のお願い、聞いてくれるよね……?」
石野蝶子(27)
ルーナ化粧品
商品企画室デザイン担当
小柄。
カーテンのように分厚い前髪と大きめ眼鏡。
化粧品会社社員だけどおしゃれにはほど遠い。
目立つの嫌い。
でも思ったことははっきり言う。
責任感が強い。
×
神月伶桜(29)
いまをときめく、トップモデル。
もうすぐ30など思わせない、美しさ。
中性的、というよりも次元が違う。
一見、爽やか王子様。
その実態は、腹黒魔王様。
極度の執着体質。
気に入ったものは一生、手放さない。
魔王様のお気に入りの人形と化した私に、明日はあるのか……!?
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表紙 月の歯車様(pixivID:7823032)画像にタイトル入れ