お見合い婚にも初夜は必要ですか?【コミック追加エピソード】
2.心の片隅にもやもや



仕事上の付き合いというものがある。
高晴さんが行きたくなくても、彼の上司が行こうと言えば、女の人がいるお店に行くこともあるだろう。綺麗なお姉さんと楽しく会話してお酒を飲むこともあるだろう。
だけど、ワイシャツにファンデーションや口紅がつくまでっていうのは、ちょっと接近を許し過ぎじゃない?
それとも、実は高晴さんを狙う別部署の若い女の子がいて、私への宣戦布告のためにくっつけたとか?

忘年会に発生したもやもや案件は、しっかりがっつり私を打ちのめしていた。しかし、翌日の高晴さんは二日酔いに苦しむばかりで、どこで飲んだとかどんなことがあったかは口にしない。送ってくれた河合さんと鈴木さんに対して「悪いことをした」と言うくらいだ。かなり酔っていたから、もしかすると詳細を覚えていないのかもしれない。

ワイシャツの証拠をつきつけてやろうかとも思った。だけど、『そういうお店に付き合いで行ったくらいで嫉妬する度量の小さい女』と思われたくなかった。
さらに世の中はクリスマス目前。去年は忙しくてメッセージを送り合うくらいだったけれど、今年は両想いの人との初めてのクリスマス。大好きな旦那様との最初のクリスマスを険悪に過ごしたくない。
そこで私はマッサージ器の時と同じく、ばしっと証拠写真だけ取った。
無造作に洗いカゴに入れられたワイシャツを広げてスマホで撮影。その後、染み抜き&洗濯した。

たった一回のことだもの。浮気というわけでもないし、目くじらをたてずに忘れよう。
心の片隅にもやもやを感じるけれど、時間がたてばきっと気にならなくなる。

私はクリスマスと年末年始というイベントを高晴さんと全力で楽しんだ。クリスマスはご馳走を作り、ふたりでデコレーションケーキを食べ、プレゼントを交換した。年末年始はお互い休みなので双方の実家を訪ねる以外はゆっくりまったり過ごした。たっぷりイチャイチャもした。
こうして毎日楽しく暮らしていると、嫌なことなんか忘れちゃう。
さらにはアニメも漫画もアプリゲームも、時間があるから堪能できて、オタクとしても充実の休暇だった。

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