秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
新たな旅立ち
 翌日になって東京に戻った私たちは、陽太を迎えに行きながら小田切の両親に経緯を説明した。

「――そうか。後味の悪い終わり方だが、仕方がないな」

 眉間にしわを寄せたお義父さんに、胸が痛む。

「ますますご迷惑をかけてしまって、申し訳ありません」

「いや。千香さんから、私たちはなにも迷惑なんて受けてないよ」

 それでも、心労をかけてしまったのは間違いない。

「佐々木梨香には、反省した様子が見られない。いつまた、俺たちの目の前に現れるかもしれないと考えると、こちらとしても対策をしておきたい」

 それは私も恐れているところだ。いくらセキュリティーのしっかりしたマンションに住んでいようと、まったく外に出ないわけにもいかない。調べようと思えば住所だって簡単にばれてしまうだろう。

 最後に見た様子だと、大雅をあきらめる気はさらさらなさそうだっただけに油断はできない。

「そうだな」

「今後については千香と相談して、決まったら報告に来るから」

 陽太を預かってくれた礼を伝え、小田切の家を後にした。
< 161 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop