男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
勘付かれたラビの『秘密の見えない親友』
 ルーファスに問われて、しばらくの間、誰も反応を返せないでいた。

 嘘なんて吐き慣れていないから、この場合の誤魔化し方が分からない。ラビがそうぐるぐると考えている中、先に硬直状態が解けたノエルが、そろりと腰を上げて苦々しく顔を歪めた。

『――だからこいつは苦手なんだよなぁ……人間の癖に隙がないうえ、予想が付かねぇ』

 ラビとしても、どうしてルーファスが、そんな事を口にしたのか分からなかった。思わず、先日の事件が終わった後に打ち明けていたセドリットとユリシスに目を向けると、彼らは全く予想外だと言わんばかりの、引き攣りそうな笑顔で固まっていた。

 どうやら、ノエルの件は口外していないらしい。もしかしたら、第三騎士団内の判断で、彼らの間だけの秘密として報告はしなかったのかもしれない。

 氷狼の暴走についても、そこに『姿の見えない不思議な小さな害獣』や、魔法のアイテムのような【月の石】、巨大化した黒大狼が関わった事は伏せている可能性がある。
< 39 / 398 >

この作品をシェア

pagetop