【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
同居始まりました
 告白成功の二人が去って行くのを見送った私達告白保留組は、何となく気まずい雰囲気を耐えてその場を後にした。

 委員会のみんなはもう帰っていて、私達は先生にちゃんと道具を片付けてきたと報告するとそれぞれ帰路につく。


 そうして別れてから、なんて返事をすればいいのかなって考えた。

 正直、告白なんてされたのは初めてだからちょっと嬉しい気持ちもある。

 村城くんは地味でパッとしないけれど、悪い人じゃないし……。


 というか、結構優しいと思う。

 今日の道具の片付けだって、本当は私一人で持っていくはずだった。
 それを重そうだからって半分持ってつき合ってくれたんだし。
 しかもさりげなく重い方を持ったりと紳士的。

 ……あれ? 見た目はともかく、中身はかなりイケメンなんじゃない?


 でもやっぱり付き合うって考えるとピンとこない。

 ここはとりあえずお友達から、とかが無難かなぁ?


 そんな結論を出して、私は誰もいない家に帰ってきた。

「ただいまー」
 と、いつもの癖で口にする。

 いつもならリビングから顔を出してお母さんが「おかえり」と言ってくれるけれど、今は年の離れた弟と親戚の法事に行っているためしばらくいない。

 しかも今日から一週間お父さんも出張ときた。
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