エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
『これが私の運命だと受け入れている』
 いつか両親のように、運命の相手と出会って結婚して幸せな家庭を築いていきたい。それが私のささやかで一番の願いだった。

 大きな家に住みたいとか、贅沢な暮らしがしたいとか言わない。ただ、愛する人と支え合いながら生涯ともに生きていければいい。

 だけど私の願いは、神様に届かなかった。


 都内でも有数の高級住宅街。純和風の自宅とは違い、洋風の大きなお屋敷で私、九条(くじょう)紅葉(もみじ)は針の筵状態に陥っている。

 さっきから品定めでもするような目で見られ、心ない言葉をいくつ浴びせられただろうか。それでも今の私には耐えるしかない。

「おい、もっと愛想よく笑えよ。お前の存在価値は恵まれた容姿くらいしかないんだから」

 なんとも言えぬ卑しい目で見つめられると嫌悪感に襲われるものの、決して表に出すわけにはいかない。

「……はい、すみません」

「謝るなら、もっと俺の友人を笑顔でもてなせ」

「すみません」

 ひたすら謝っている相手は、私が大学を卒業したのを機に半月前に婚約した円(えん)城(じょう)久次(ひさつぐ)だ。
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