エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
『ただの護衛対象だったはず 静馬SIDE』
 どうしてただの護衛対象だったはずの彼女に、兄のことを話したのだろうか。……いや、兄のことだけではない。
 SPとしての職務以上のことを彼女にはしてしまう。

 婚約者に罵声を浴びせられていた時だってそうだ。投げつけられた者が当たらないように守ればよかっただけなのに、感情を露わにして婚約者を逆上させるようなことを言ってしまった。

 警視庁のSPだった時代から常に冷静に任務にあたっていたというのに、こんなの俺らしくない。

 そうわかってはいても、彼女を前にすると理性を保てなくなるんだ。


「アハハッ! 円城のドラ息子に啖呵を切ったとは……! さすが俺の弟だ」

 夜中の一時過ぎ、使用人たちも寝静まっているというのに声を上げて大笑いするのは、兄の桜堂(さくらどう)創一(そういち)だ。

「兄さん、声が大きい。いいのか? 類が目を覚ましたら義姉さんに叱られるぞ」

「そうだった、あいつは怒ると怖いからな」
< 110 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop