冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
4.日々



八月、私と未来がベイエリアのマンションに引越してきて半月が経った。

暑い日が続き、未来との散歩は早朝や夕方にした。日中は家の中で遊んでもらう。広い室内は未来にとって足腰の鍛錬にちょうどいいようだった。よちよち歩きは日に日にしっかりとした歩みに代わり、軽く駆けだすような素振りも見せてくれる。
その分、私は未来を注視している時間が増えた。机の角やベビーガードの設置を検討しなければならない。

未来の寝ている隙間時間に部屋を掃除し、藍から回してもらった仕事を片付けた。私と未来の生活スペースはリビングとそこに面した和室。それでもふたりで暮らした家よりずっと広い。

廊下の奥に豊さんの寝室兼書斎があるけれど、そちらには近づかないようにしている。
豊さんはこの二週間ほど、数えるほどしかこの部屋に帰っていない。
ほとんど職場に寝泊まりしているようだ。この部屋に帰ってくるときはたいてい深夜で、私はそれを足音で感じる。私や未来を起こさないようにそっと私室へ入ってしまう。
翌日、私たちが起きだす頃に顔を合わせることは何度かあったけれど、ほとんど会話もなく彼は出勤していく。
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