ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
第五章 もし、この力が必要だと言うのなら
(……あれ、まただ)

 離宮で、マルと一緒にクッキーを焼きながら、シアは首を傾げた。
 なんで、シアのところに、呪いが飛んできているんだろう。このところ、シアのいる離宮に呪いが飛んできているのだ。
 呪いの源を探そうとしているけれど、まだ見つけることができていない。とりあえず祓ってはいるが、術者はかなりの腕の持ち主らしい。

「どうする? 根源を絶ちに行く?」

 作業台の上を飛び回りながら、マルがたずねる。
 彼は、直接調理器具を触る必要はない。どういう理屈か、彼が命令すれば調理器具が空を飛び、あっという間にクッキーを焼き上げてくれるからだ。

「――そうできればいいんだけど」

 身にまとわりついてくる呪いを、指を振り、ひょいと切った。こう呪いを立て続けに受け続けていると、いらぬ心配をしてしまう。

(……怖い)

 聖女の祠で暮らしていた頃の生活に戻るのが。あの頃は、あれが当たり前の生活だと思っていた。
 シアの元を訪れるのは、シアに救いを求める人と連絡係の神官だけ。瘴気が出れば、それを断ち切るために、シアは国中どこにだって出かけた。
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