ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
第八章 これまでも、これからも
「――シア、元気にしていたか?」
「元気にしていますよ」

 シアは苦笑して、エドに座るよう促した。

「アキさんもどうぞ」

 アキ――いや、彼はヨアキムの方がシアにはわかりやすい――も、エドの隣に座る。エドとは違い、今までヨアキムと会話する機会はさほど多くなかった。
 こうして気安く声をかけてくるのは、王宮ではまず見られない光景だが、ここはベラの店だ。冒険者としての立場を崩さずにいるのだろう。

(そう言えば、ジュスラン様も、そんなことをしていたな)

 久しぶりに思い出したのは、元婚約者。彼もしばしば魔物退治に出かけていた。
 彼は剣の腕が巧みで、魔物を退治するところに意味を見出しているようなところもあった。

(私もさんざん同行させられたっけ)

 戦いに赴く前に、シアが祈りを捧げる。
 そうすると、女神の加護で身体が軽くなるのだ。魔物をどれだけ切っても、体力が衰えることなく、また、多少の攻撃なら跳ね返してしまう。
 それをエドも知っているだろうに、彼は魔物退治の場に同行してくれとシアに頼むことはなかった。

(――こっそり、かけておこう)

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