深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
誓約
*****恭也の思い

父親の会社を継ぐと決めたのは、自分の意志だった。

さやかと結婚すると決めたのも、俺の意志だ。さやかはそれを受け入れてくれていたから、どんなことがあっても一緒に乗り越えていけると安心していた。

だから、別れを告げられた時は信じられなくて、ショックだった。

さやかがたくさん悩んで、別れを選択したかと思うと……胸が張り裂けそうなくらい苦しくなった。

一人でいる部屋は、寒かった。

さやかと暮らすまでは感じたことがなかったが、俺は一人で生きていけない人間なのではないかと思った。

さやかが恋しくて、恋しくて……声さえも聞けないのが、ものすごく辛かった。

彼女との日々を取り戻すために、会社だけではなく、さやかも守れる方法を必死に考えた。

良案が思い浮かび、気持ちを強く持てるようになった。さやかは、俺のことを『強い』と言った。

さやかに幻滅されない『強い』自分でいようと、心に誓った。

会社では新規事業開発に向けて、一年前から計画が進められている。内容としては問題はないのだが、資金面が不安定だった。

確たる資金確保には、他の企業との連携が必要になった。
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