訳あり子育て中は 御曹司からの猛攻にご注意下さい
意外な人の、意外な事実
自分で自分の唇を噛むなんて初めての体験。
それだけのストレスを感じていたってことだろうけれど、目が覚めて病院のベットに寝かされていることに気づいたときは本当に驚いた。
結局は過労とストレスで突発的に起こした行動だろうとの診断。
唇と口の中を縫合してもらい念のための数日間の入院経過観察となった。

しばらく入院する様にと言われた時、まず心配したのが登生のことだった。
とてもじゃないけれど、忙しい淳之介さんが一人で登生の世話なんてできない。そう思って入院を拒んでみたけれど、「大丈夫俺が何とかするよ」と話す淳之介さんの真剣さに説得された。
もちろん不安ではある。それでも、いい加減なことをする淳之介さんではないからと信じてみることにした。
もし、淳之介さんが登生の本当の父親ならば、2人は一緒にいるべきなのかもしれない。私は頭の片隅でそんなことも思っていた。

「無理なら実家にだって預けられるんだから、言ってね」
「わかっている。璃子は心配しなくてもいいから」

さすがに淳之介さん1人で登生の子育てができるわけがなく、どうやらお手伝いの人を頼むつもりらしい。
それを聞いて少しホッとした。
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