訳あり子育て中は 御曹司からの猛攻にご注意下さい
家族を始めます
「ねえどこに行くの?」
このまま家に帰ると思っていたのに、車は都心を抜けて高速へと向かって行く。

「どうせ明日は日曜で、璃子も休みだろ?」
「うん」
「登生も明日の夕方までは帰ってこないんだろ?」
「そうね」

言われてみれば、こんなに自由な時間を持てるのは登生と暮らすようになってはじめて。
いつも時間と、登生の世話に追われていたから。

「今日は少しゆっくりしよう」
「でも、仕事は大丈夫なの?」
「ああ、なんとかする」

忙しい淳之介さんが時間を作るのは大変な作業だろうと思う。
でも、一緒にいられることがうれしい。

「俺たちは、2人のことを話す時間が足りなかったからな」
「そうね」

いつも登生の話ばかりで、2人になる時間もなかった。

「今日はちゃんと話をしよう」
「はい」

いつまでも逃げるわけにはいかない。
そろそろはっきりさせないと。
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