クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
プロローグ

「戻ってくるんだ」

半年以上ぶりに父と顔を合わせた俺は、やはりと心の中でため息をつく。
真夏のただでさえ暑い日、今から視察に行こうと思っていた矢先、いきなり父の秘書が迎えに来て今この場所にいる。

都心にそびえ立つ自社ビルの三十五階の広い社長室。天井からは豪華なシャンデリアが飾られ、高級なカーペット張りの床の上には、海外から取り寄せた数百万はするソファーセットが鎮座する。

その奥に一際大きなデスクとチェアー、後ろの壁には大きく藤堂(とうどう)コーポレーションの社章が描かれている。
その広々とした部屋は、空調が管理されていて涼しく快適だ。

今まで少し汗ばんでいたスーツの中が、少しひんやりとすら感じたのはこの温度以外にも、雰囲気のせいもあるかもしれない。

存在感のある椅子に座り、デスクの上で手を組み俺をまっすぐに見つめる父。その前に俺は立っていた。
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