婚約破棄される未来を変える為に海に飛び込んでみようと思います〜大逆転は一週間で!?溺愛はすぐ側に〜

卒業パーティーまで一日

朝、目が覚めてすぐに引き出しの中にあった日記帳を取り出して抱きしめた。

(……ついに明日が、卒業パーティーね)

そう考えて大きな溜息を吐いた。
足の具合は良くなってきているものの、この状態で長時間立ち続けるのはやはり無理があるだろう。

今まで自分の身は自分で守る事が当たり前で、こんな風に怪我をする事など滅多になかったので新鮮な気分である。
それに記憶がない事は皆には伝わっていない為、落ち着くまで表に出ない方がいいだろうとの判断だった。

父は昨日、その事を学園長に伝えに向かった。
そして「問題ない」と告げられたそうだ。

それにパトリックとの婚約は解消されたとしても、卒業パーティーに参加する事は気が引けた。
何が起こるのかは、まだ分からない。
それにもしこの日記に書いてある事が未来の出来事だったとしたら……友人達に裏切られるかもしれないと思ったからだ。

恐らく自分から動いた事で日記に記されていた未来とは違う道に進んでいるのだろう。

(そう思いたい……)

今回の件で、良い意味でも悪い意味でも新しく気付けた事が沢山あった。
何より、この短期間に家族の絆を感じる事が出来て心が満たされていた。

(わたくしの視野が狭くなっていただけ。手を伸ばせば、直ぐ側に居てくれたのに、それを甘えだと決めつけていた。皆はわたくしを想っていてくれたのに……)
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