断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる
1.ヴィクトリアの日常

 始まりは、12才の時だった。わたくしヴィクトリアは、王家に連なる公爵令嬢として、常に完璧であるようマナーや勉学を懸命に取り組んできた。
 それがお茶会などで成果が出てきた頃、第二皇子のイーサン殿下との縁談が持ち上がった。

 ここ数代の王族は、他国の王族と婚姻することが多かったため、王家と公爵家の血の繋がりを強固にするためである。顔合わせの日には、ほぼ決定に近いほど、話がまとまっていたのだけれど……。

「俺はこのような無表情で人形のような女を妃にしたくなどない」

 仁王立ちした第二皇子が、私に向かって指を差し、このような発言をしたのだった。
 当然、私と両親は、唖然として目を見開いた。両陛下は慌てた様子で謝罪をしてくださったが、このように己の立場を考えず行動できてしまう浅はかさに失望し、私こそ嫁ぎたくないと心の中で悪態をついた。

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