エレベーターから始まる恋
3rd floor

週半ばの水曜日。
全会社員が"まだ水曜日?"と嘆く、あの水曜日。
先週石岡さんから言われていた取引先とのミーティングに、私は議事録係として参加する。

午後イチの業務の為、珍しくお昼をたんまり食べた私を眠気が襲う。

「眠そうな顔してんな坂本、さっさと準備しろ!」

「は、はい!」

会議室を開け、空調を整えモニターの電源を入れる。
時間まで私は通常業務を行い、石岡さんが取引先の社員数名を会議室に招き入れたところを横目で確認して来客用のお茶を準備した。

「失礼いたします」

名刺交換と雑談が行われている中、私は順番にお茶を置いて行った。
メインテーブルから少し離れた席で議事録の準備をする。

石岡さんはいつも怒鳴っている声しか聞いたことないから、こんなに普通に会話できるのかと驚く。それはそうか。

「…ん?」

石岡さんと会話している男性のこの声。
無意識に顔を上げ、その声の主を探した。
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