エレベーターから始まる恋
4th floor -top floor-

郡司さんの話を聞いて、開いた口が塞がらなかった。
私が彼を気になり始めたのは、ここ半年のこと。
だけど郡司さんは、それよりもずっと前から私を知っていて、気になってくれていたということ…?

驚くポイントはそこだけだはない。

「鈴木さんと…ご親族だったんですね」

「あぁ。君の話はよく聞いていたよ」

そして、とんでもない勘違いもしていた。
郡司さんが電話で話していた"ミチコちゃん"は江藤さんのことではなく、鈴木さんだったのだ。

「わ、私てっきり、江藤さんとお付き合いされているのかと…」

「それ、さっきも似たようなニュアンスで言ってたけど、どうしてそう思ったの?」

「あ、いや…その…」

電話を盗み聞きしていたなんて言えない。
咄嗟に誤魔化した。 

「お二人がよく一緒にいるところを見ていたもので。江藤さんのことも、郡司さんがそう呼んでいるところをたまたま聞いて」

「なーるほどね…」

郡司さんは顎に手を添えてしばらく考える素振りを見せた。
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