貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
7.和を以て……いったいどうなる?
創ちゃんと思いが通じ合ったその翌週、月曜日。
私たちには、出勤してまず一番にすることがあった。

「清田さん、本当にご心配とご迷惑をおかけしました!」

始業時間の前。出勤して来た清田さんを捕まえると、創ちゃんとともに人の目の少ない場所に移動した。
そして、何事かと目を丸くしている清田さんに、私は真っ先にこう言って謝ったのだ。

「いいのよ! 与織子ちゃんが元気になってくれてよかったわ。あのまま産休に入ってたらモヤモヤしかしないもの」

そう言って清田さんは明るく笑い飛ばしてくれ、私はホッとしていた。
そう。清田さんは明後日からとうとう産休に入ってしまう。明日が休みに入る前の最後の出社日なのだ。

「それにしても、川村君と一緒ってことは上手くいったのね? 与織子ちゃんにも見せたかったわ! 落ち込んでどんよりした川村君の顔!」

とにかく、面白いものを見たとばかりに笑っている清田さんと、憮然とした創ちゃんの対比は凄い。

「でも、本当に安心した。川村君の片思いのまま終わっちゃうのかと思った!」

笑いすぎたのか涙を浮かべて言う清田さんに、私は「えっ? 何か聞いてたんですか?」と尋ねる。

「ううん? でも、さすがに何年も同期してたら、与織子ちゃんにだけ態度違うのわかっちゃって!」
「清田……もういいだろ……」

そう返す創ちゃんは、私が見ても照れているのが丸わかりの赤い顔。

「やあだ! 川村君、そんな顔して! 休み前に面白い餞別もらっちゃった!」

大きなお腹ごと体を揺らして笑っている清田さんを見ながら、本当に良かった……と私は思っていた。
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