貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
8.終わりよければ!
家に帰って、私たちはまず、澪さんが作ってくれていたご飯を食べた。
そしてそれから、今度は創ちゃんに先にお風呂に入るよう促した。着替えは畳んで置いてあった誰かのものを拝借して。
創ちゃんは『与織子が先に……』なんて言っていたけど、実はほとんど寝ていない、なんて話を聞いて、私は創ちゃんを急かした。

だって本当に、ものすごく眠そうだもの

家に着き、きっと気が緩んだのだろう。ご飯を食べながらぼんやりしている創ちゃんを見ながらそう思っていた。

「与織子。先に悪かったな」

お風呂から上がってきた創ちゃんが、そう言って扉の向こうから顔を覗かせる。

「ううん? それよりもう横になって?」

遠慮気味にドアの前に立つ創ちゃんの元へ行くと、私はその腕を引いて、自分のベッドへ連れて行く。

「いや、やっぱり俺はソファで……」
「ダメ! 創ちゃん疲れてるでしょ? 今日はちゃんと寝ないと!」

戸惑ったような声が頭の上からするが、私はお構いなしに創ちゃんをベッドに座らせた。私がこの家に越してきたときすでにあったこのベッドは、なぜかダブルサイズ。私一人なら広すぎるけど、創ちゃんならちょっと広いくらいだろう。
創ちゃんはベッドの縁に座ったまま下を向いていて、私はそれを立ったまま見下ろしていた。
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