猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
△Prolog△
中学三年の秋。私の初恋は、あっけなく散った。
好きになった相手は、同じクラスの男子。
誰に対してもフレンドリーな人で、輪の中心には必ず彼がいた。
私ともよく話していたし、もしかしたら向こうも私のことを好きになってくれるかも……なんて、直前までそんな淡い期待もしていた。
だけど、放課後の教室で精一杯の勇気を振り絞って気持ちを告白した私に彼は言った。
『はははっ、冗談キツイって。香田のこと、女子として見れる男とかいねーだろ』
この頃の私は、髪は結べないぐらい短い上に常にぼさぼさ。化粧なんて一切したことなかったし、体型もがっしりと太めだった。
見た目だけでもそんななのに、さらに私は、ある理由で有名だった。
確かに、なかなか女子として見てもらえないのは事実かもしれない。
でもそれにしたって、あんな言い方は酷すぎる。その日の夜は目が真っ赤に腫れるまで泣いた。
そして、その言葉をきっかけに決意したんだ。
──高校生になったら、絶対に女の子らしくなって、あんな奴よりもずっとずっと素敵な人と恋愛してやるって。