猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
△提案△




何あれ何あれ何あれ!


教室から飛び出した勢いのまま、私は駅まで一気に走った。


女の子からの勇気ある告白を『気持ち悪い』と言った柳沢くん。破られて無残な姿になった手紙。

頭からはさっき見たその光景が離れない。



何で?柳沢くんは笑顔が素敵で誰にでも優しい王子様でしょ?

あんなの、最低な私の初恋相手と同じじゃん!


今日なっちゃんに、好みの男子は強いて言うなら柳沢くんだって言った。だけどあの人、『勇気を出して告白してきた女の子のことを悪く言わない人』っていう最低条件すら満たしていなかった。


ものすごく裏切られた気分。


もやもやした気持ちが一向に治まらなくて、私はため息をつく。

そしてふと目に入ったのは、クレープ屋さんの看板。


なっちゃんと一緒に食べたいなって思ってたけど、もう一人で食べちゃおう。

こんなもやもや、とびきり甘いものでも食べないと忘れられない。


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