初恋の味は苦い

琥珀の夢

ズラリと並んだビールの数々。
祥慈は「キンキンに冷えたビールが一番美味しい季節は終わっちゃったよね」と言いながらメニューを眺める。

「私シャンディガフで」
「シャンディガフ?ビールにしようよ」
「ええ?」
「はいはい、シャンディガフね、俺はこの琥珀の夢ってやつにしようかな」

彼はやっとメニューから顔を上げ、店員の姿を探す。

「食べ物何がいい?」

そう言いながら食事のメニューを私に差し出した。

「彼女とは長いの?」
「食べ物は何がいい?」
「彼女といつから付き合ってるの?」

私の問いに呆れたように笑って、側を通りかかった店員を呼び止めた。

シャンディガフと琥珀の夢というビールと、サラダとポテトとハムやソーセージの盛り合わせなんかを注文していく。

店員は注文を繰り返し唱え、テーブルを離れていった。

「え、なに」

祥慈はとぼける。

「彼女とは長いの?って」
「ああ、半年くらいかな」
「じゃあ楽しい時だ」
「どうだろうね」

彼は一旦伸びをした後、フッと息を吐きながら肩を落とした。

「楽しくはないかなあ、俺は。大体、最近は常にケンカ状態だよ」
「なんで」
「転職するって言ったから」
「なんで」
「私とのこと考えてる?って。彼女34なんだよね」

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