結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

夕焼けの空の下

 初めて彼と想いを交わし、甘酸っぱい口づけをした。夕焼けを見るとどうしても思い出してしまう。

 風が出てきたところで、ソフィアはリヒトのいる場所を確認する。岩場で夢中になって蟹を探しているから、もう少し遊ばせておこう。そう思って顔を上げた途端——。

「アルベルト……」

 海岸線に沿うようにアルベルトが歩いてくる。彼の方もソフィアに気がついたようで、足を止めてジッと見つめた後、走り寄ってきた。

「ソフィア、どうしてここに」
「あなたこそ、こんな時間に出歩くなんて——」

 アルベルトに話かけたところで、リヒトが蟹をつかんで駆け寄ってくる。あっと思った時はすでにソフィアに向かって声を出していた。

「ママ! ママ! 見て、おっきい蟹さん!」
「リヒト!」

(ダメ、今こっちに来てはダメなの!)

 声にならない叫び声はリヒトには届かない。嬉しそうに顔いっぱいを笑顔にしたリヒトはソフィアのところに来ると、「これ!」といって蟹を取り出した。

「リヒト、ママは蟹さんが苦手なの」
「ママ、蟹さん嫌いなの?」
「ううん、ママは触れないだけだよ。ほら、リヒトが掴んでいると海に帰れないから、おうちに帰してあげよう」
「そっか、蟹さんもお家に帰りたいよね」

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