結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
第三章 記憶の行方

アルベルトの過去



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 ——七年前。

アルベルトは生まれてから常に兄の補佐をするように教育されてきた。貴族の子弟達の通う学園を優秀な成績で卒業した後、兄の事業の一翼を担うべく商売の勉強をしろと言われたが、どうしても絵を描きたかった。そのため一年だけ自由にさせて欲しいと交渉し、ヘザー侯爵家の名を出さないことを条件にしてようやく家を出ることができた。

一度出てしまえば絵描きとして成功するまで帰るつもりはなかったが、一年が過ぎようとした時に男爵令嬢のソフィアと出会った。セイリュースの輝く海のように眩しくて、珊瑚のように美しい少女。話しかけられた瞬間に目が離せなくなった。

その頃のアルベルトは外に出た途端に目にした新時代と言われる技術革新に心を奪われ、新大陸の芸術に感銘を受けていた。現代芸術といわれる、いわゆる抽象画に挑戦しようとして『世界の真理』を描いてみたものの——、失敗した。

だが、ソフィアはそれを笑うことなく受け止めてくれた。単純に彼女が愛しくなり、ソフィアを描くことで自分の中に漠然と探していた『真理』を見つけたように思った。

自分を、侯爵子息でも何でもないありのままの自分を受け止めてくれる彼女が、ソフィアが愛しい。——愛している。

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