妹と人生を入れ替えました~皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです~

23.妹と人生を入れ替えました

 それから傷が治るまでの間、わたしは憂炎の宮殿で療養することになった。

 本当ならば自宅で療養するべきなんだろうけど、それだと憂炎が会いに来れない。わたしの提案は敢え無く却下された。

 当然、両親は恐縮しきりだった。華凛は妃でもなければ、女官ですらない。
 けれど、『次期皇帝の命を守ったのだから』という憂炎自らの説得と、こちらの方が手厚い治療が受けられるという理由で、最終的には納得してくれた。


「――――後宮に通わなくて良いのか? 華凛が待ってるぞ?」


 仕事もそこそこに、わたしの様子を見にやって来た憂炎にそう問えば、グリグリと思い切り鼻を摘ままれる。


「そんなの、おまえの気を惹くためのフェイクに決まってるだろ、バカ」


 憂炎は唇を尖らせ、わたしを真っ直ぐに睨む。頬がほんのりと紅く染まっていた。


(そっか、フェイクなのか)


 憂炎も男だ。少しぐらいは気持ちとか身体とか、色々揺れたんじゃないかなぁって思っていたけど、どうやら思い過ごしだったらしい。

 憂炎はわたしのことを撫でながら、触れるだけの口付けをする。
 それだけで、これまでちっとも分からなかった憂炎の気持ちが伝わってくるみたいだった。人っていうのは、変われば変わるもんだなぁなんて思う。


「……早く元気になってくれ」

「うん」


 憂炎が、わたしが後宮に戻る日を、今か今かと待っている。それが恥ずかしくて、だけど、とても嬉しかった。
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