初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが

11.


 ……ん?
 
 ?

 今なんて……?

 ぱちくりと目を瞬いてから、何か知っているのかとシェイドを振り仰ぐ。
 けれどシェイドの目も限界まで開かれていたから、きっとウォム医師は何か変な誤解でもされているだけだろうと思い直す。
 内心の動揺を隠し、リエラは改めてウォム医師へと向き直った。

「確かクライド殿下の婚約者候補の筆頭は先程のベリンダ様だったと記憶していますが……?」
「はは。いやあ〜、公爵家、侯爵家ときて、次いで伯爵家が選ばれても何もおかしくはないでしょう。それにアロット伯爵家は古くから王家に仕える由緒正しい家柄ではないですか。何より別の男たちに愛を囁いていた女性を、殿下も心情的に選びたくないでしょうからね」
「え……と……?」
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