身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?
第5章 身代わり夫は愛される?!

第49話 切れない糸

「お父様、お食事です。少し体を起こしてもよろしいですか?」
「ありがとう……自分でできるから大丈夫だ」


 リカルド様が国王陛下の前でお母様に盛られた毒の件を報告した、あの日から二週間。

 お父様はショックのあまり体調を崩して寝込んでおり、意識を取り戻したお母様もリハビリ中。そんな大忙しの我が家で、私は両親の看病に明け暮れている。

 二人の看病は自分が思ったよりも負担が大きくて、悩みごとをする余裕もないままあっという間に毎日が過ぎていく。おかげでリカルド様との離婚は後回しにせざるを得ない状況だ。忙しすぎて、もうどうにでもなれという投げやりな気持ちになってきた。

 それに、今のヴァレリー伯爵家にはもう一人。ケガ人が滞在している。

 魔獣との戦いで負った背中の傷が開いてしまったユーリ様は、王都に暮らすご家族の元で療養される予定だった。
 それをリカルド様が止めて、我がヴァレリー伯爵家で客人として療養させろと言ってきたのだ。

 ユーリ様はご両親やお兄様たちとあまり上手くいっていないようだ。

 あんな家族の元に戻ったら治る傷も治らないというのがリカルド様の主張で、今回ももちろん国王陛下の名前をちらつかせて来るリカルド様の前に、ソフィやシビルの件で負い目を感じているお父様も二つ返事で了承した。


 私の心の中にしっかりと刻まれたのは、

『リカルド様と関わるとロクなことがない』

ということ。


 ユーリ様もカレン様も、よくリカルド様に振り回されながら何年も耐えたと思う。私は無理だ、早く離婚したい。それなのにリカルド様に会いにいく時間も、離婚の申し立てのために出かける時間もない。


 リカルド様と結婚しているはずの私、リカルド様の身代わりから解放されたはずのユーリ様。

 何だか奇妙な関係の私たちは今、同じ屋敷の中で過ごしている。



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