ヒロインよ、王太子ルートを選べ!

番外編⑥:ヒロインは未来へ進む ※レオナルドside

レオとコレットの結婚後のストーリーです。


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 普通の夫婦ってなんだろう。
 これが俺の最近のテーマ。

 コレットとの結婚披露パーティーは昨年の冬。そこから新年を迎え、季節は変わって春を過ぎ、真夏を迎えようとしている。
 エドワードはもうすぐ一歳だ。

 王宮の庭園に青々と育つ芝生は、エドワードによってところどころ引っこ抜かれてハゲた。回廊に飾られた花瓶という花瓶はヤツのイタズラで割れまくって全て撤去されたので、殺風景この上ない。

 王宮内の女性陣は誰もネックレスをつけなくなり(引っ張られてケガをするから)、侍女たちが掃除する時は、水桶をわざと高い場所に置いている(倒されて水浸しになるから)。

 ……凶悪だ。手がつけられない。さすが俺の弟。

 いやしかし、そんなエドワードのイタズラを全て手放しで許してしまうほど、子供というのは可愛いものだ。

 俺も自分の子が欲しいと願ったって、不思議でもなんでもないと思う。コレットが俺の子を産んでくれたらどんなに幸せか。エドワードを見ながら、俺はいつもそんなことを考えていた。

 ここで話は初めに戻る。

 普通の夫婦ってなんだろう。俺はその謎を解くべく、エリオットを王宮に呼んだ。


「お前にどうしても聞きたいことがある」
「レオ、顔が怖いけどどうしたんだ? 別に答えられることなら何でも協力するけど……」


 急に王宮に呼び出して人払いをされたんだから、エリオットだって驚いているだろう。しかし今日は、絶対に聞かねばならない。
 俺は意を決して口を開いた。


「リンゼイがルイーズを妊娠した時のことだが」
「ん?」
「リンゼイはお前に何と言って告げたんだ?」
「え? 確か普通に……」
「普通に?!」

「エリオット様! 私、水中出産がいいです!……みたいな感じ?」


 ……なるほど。普通というより、先進的すぎるんじゃないか?


「リンゼイはどうやって妊娠に気付いたんだ?」
「なぜって……それは色々と兆候があったんじゃないかな。あれ、もしかしてコレットから妊娠したと言われたとか?」
「……いや、非常に残念ながらそういうことじゃない」


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