ヒロインよ、王太子ルートを選べ!

第6話 悪役令嬢はイジメ方を知らない

 今日は入学式です。
 これまで家庭教師に教わっていた基本知識やマナーに加え、より専門的な知識を学びます。

 貴族の女性にとっては、結婚して子供を産む道がまだまだ王道であるこの世界。でも私のような悪役令嬢は、もしもの時のために何か手に職をつけておきたいなんて思っています。

 一番興味があるのは、実は医学!

 幼馴染のリンゼイ・ベルラントは元々体が弱いのです。ゲームのシナリオでは、体の弱さが原因で王太子殿下の婚約者に選ばれなかったリンゼイ。その後の彼女の人生はゲームには描かれていませんでしたが、大親友のリンゼイが体が弱いまま一生を過ごすなんて、可哀そうすぎます。

 だから医学を勉強して、何らか親友の役に立てたらいいなと思ったのです。

 それはさておき、今日はマティアスとヒロインの出会いイベント。
 殿下はヒロインに顔が割れているのでイベントには行かないそうです。本当に我儘ですね。まあ、私も自分の入学式当日に他人に構っている暇はありませんので、もちろんイベントには行きません。

 ヒロインがマティアスルートを選んだ場合の私へのダメージは少な目ですから、今日は気軽に自然の流れに任せて行きたいと思います!


「おい」


 きましたね。私のことを『おい』と呼ぶのはあの人しかいませんから、すぐに分かります。


「おはようございます、殿下」
「久しぶりの登校は、ねみーな」


 殿下、ここは学園ですから。ブラックモードはしまっておいた方がよろしいですよ。


「ん。これ、やる」


 殿下が何か差し出してきました。なんでしょう。花……花束?! じゃない。植木鉢! 重っ!


「殿下、なぜこんなものを? もしかして、これをヒロインに渡せと?」
「は? 祝いだよ。お前だって今日入学だろ」
「へっ、私にこれを……」


 殿下はそのまますぐにどこかへ行ってしまいましたが、去り際に振り返り、『せーとかいしつに飾っとけよ』と言いました。
 なるほど、この鉢は殿下からではなく、生徒会からの贈り物ですね。でしたら、生徒会費から落とさねばなりません。後ほど殿下に領収書を頂きましょう。会計担当も大変です。

 私のために殿下が用意してくれたのかと思って、一瞬嬉しかったですけどね。まさか生徒会費からの支出だとは思いませんでしたよ。

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