俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
side story その氷を溶かすのは……
Side Story その氷を溶かすのは……

 あの出会いは善が二十七歳、ルーブデザインの社長に就任してすぐのことだった。

『彼だけは特別だと思ってたのに、馬鹿みたい。馬鹿みたい!』

 ハラハラと涙を流す彼女を心からかわいいと思った。善は博愛主義で、女性はみんな愛すべき存在だと思っていたけれど……自分が笑わせてやりたいとか、そんなふうに思ったのはあのときが初めてだった。自分の感情の揺れ方に自分でも戸惑っていたことを今でもよく覚えている。

(あんなにかわいい女はどこにもいないのに、柘植は本気で見る目がないな)

 でも、彼女のためにはいいことだと思った。ゼミの同級生だった柘植悠馬は根っからの悪人ではないが、しょうもない男だ。女好きという感じでもないのだけれど、流されやすいのか学生時代から度々女性関係のトラブルを起こしていた。

(あの程度の男にはもったいない)
< 97 / 123 >

この作品をシェア

pagetop