やり直しの人生では料理番の仕事に生きるはずが、気が付いたら騎士たちをマッチョに育て上げていました。 そしてなぜか、ボディビルダー王子に求愛されています!?

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「おかげさまで、楽しく過ごさせていただきましたわ。ステファノ様からお気遣いをいただいて、妹も婚約者も両親も、皆感謝しております。あ、それからボネッリ伯爵も、街道整備は順調と言っておられましたわ」

 そうか、とステファノは満足そうに頷いた。

「妹君の婚約者は、武芸試合に参加しておられたな。弓の腕前に見所があったと、記憶しておる。父君の良き助けとなるとよいな」

 皆考えることは同じなのね、とビアンカは思った。

「そうですわ、ご報告がございます。チェーザリ伯爵に加担していた当家の侍女が、罪を告白しました。父としては、解雇した上で領地から追放、という処分を考えているようですが。ゴドフレード陛下のご判断を仰いだ方が、よろしいでしょうか? 王家の紋章の無断使用に関わったわけですが……」

「兄上のお手を煩わせることはなかろう。父君のご判断に任せるとしよう」

 ステファノは、あっさり答えた。

「承知しました。……そして、今度はめでたいご報告ですわ。すぐ下の妹のルチアですが、彼女も結婚が決まりましたの。私は全然知らなかったのですが、アントニオさんと好き合っていたようですわ」

 さぞや驚くだろうと思ったのだが、ステファノは合点したような顔をした。

「さようか。ようやくまとまったのだな。それはよかった」

 まるで、待っていたという気配である。おまけに、ものすごく嬉しそうなのは気のせいだろうか。ビアンカは、首をひねった。

「ステファノ様。私の存じない所で、ルチアと色々話されているのですか? そういえば、クラリッサ様の修道院の場所も、彼女には教えられたとか」

 思い出すと、気になってくる。ビアンカは、ステファノの顔をチラと見た。

「私には、教えてくださいませんでしたわよね。一体、なぜ……?」

 するとステファノは、呆れたようにため息をついた。

「ビアンカ。そなたは賢い娘だが、時折とんでもなく鈍感だな」
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