やり直しの人生では料理番の仕事に生きるはずが、気が付いたら騎士たちをマッチョに育て上げていました。 そしてなぜか、ボディビルダー王子に求愛されています!?
5
(アントニオさんが、優勝……?)
最終日の武芸試合は、ボネッリ領の全騎士が参加して、剣の腕を競うものだ。アントニオは剣が得意と聞いているが、果たして優勝など狙えるのだろうか。
「どうだ、それならば文句はないであろう?」
ステファノが、ドナーティを促す。承知しました、とドナーティは渋々答えた。
「それから、ビアンカ嬢」
ステファノは、ビアンカを見て微笑んだ。
「そなた、この一週間、ボネッリ邸へ通ってくれぬか」
「……どうしてでございます?」
ビアンカは、きょとんとした。ステファノが、メニュー表を指す。
「そなたの作る料理が、食べてみたいのだ。私はここに滞在しているから、通って作って欲しい」
ボネッリ伯爵が、ほっとしたような笑顔でこちらを見るのがわかった。ビアンカは、ハキハキと答えた。
「かしこまりました、喜んで」
「騎士たちの食事の用意もあるだろうから、一日一食でよいぞ?」
気遣ってもらえるのが、さらに嬉しい。ボネッリ伯爵は、ビアンカの耳元で囁いた。
「遠慮なく、材料を使ってください。何なりと協力します」
「ありがとうございます!」
その時、応接間の扉が開いた。先ほど出て行った家臣が、ヨレヨレになったテオを支えて入って来る。
「ステファノ殿下。チェーザリ伯爵は、やはり木に引っかかっておりました。ご無事でいらっしゃいます!」
家臣はステファノにあれこれ報告していたが、舞い上がるビアンカの耳からはすり抜けていった。ステファノに、自分の作った料理を食べてもらえる。ビアンカはそれだけで、十分に幸せな気分だったのだ。
最終日の武芸試合は、ボネッリ領の全騎士が参加して、剣の腕を競うものだ。アントニオは剣が得意と聞いているが、果たして優勝など狙えるのだろうか。
「どうだ、それならば文句はないであろう?」
ステファノが、ドナーティを促す。承知しました、とドナーティは渋々答えた。
「それから、ビアンカ嬢」
ステファノは、ビアンカを見て微笑んだ。
「そなた、この一週間、ボネッリ邸へ通ってくれぬか」
「……どうしてでございます?」
ビアンカは、きょとんとした。ステファノが、メニュー表を指す。
「そなたの作る料理が、食べてみたいのだ。私はここに滞在しているから、通って作って欲しい」
ボネッリ伯爵が、ほっとしたような笑顔でこちらを見るのがわかった。ビアンカは、ハキハキと答えた。
「かしこまりました、喜んで」
「騎士たちの食事の用意もあるだろうから、一日一食でよいぞ?」
気遣ってもらえるのが、さらに嬉しい。ボネッリ伯爵は、ビアンカの耳元で囁いた。
「遠慮なく、材料を使ってください。何なりと協力します」
「ありがとうございます!」
その時、応接間の扉が開いた。先ほど出て行った家臣が、ヨレヨレになったテオを支えて入って来る。
「ステファノ殿下。チェーザリ伯爵は、やはり木に引っかかっておりました。ご無事でいらっしゃいます!」
家臣はステファノにあれこれ報告していたが、舞い上がるビアンカの耳からはすり抜けていった。ステファノに、自分の作った料理を食べてもらえる。ビアンカはそれだけで、十分に幸せな気分だったのだ。