心の温度

悟side

悟は、出張先に彼女からメールがくるとは思わなかったが、内容を見て彼女が不安に思ってると思いすぐ電話した。
やはり井上不動産のウワサが佐藤建築工業にも流れてきたかぁと怒りを感じた。

そして昨日の午後から男性社員たちが覗きに来てたなんて気が付かなかった自分が情け無い。

元の嫁の事が頭をよぎった……嫁の精神的な変化に気づかなかった俺。そして真っ赤にお尻がただれていた赤ん坊の七海……

元嫁は俺に何も相談やお願いをしなかった。
確かに元嫁は負けず嫌いな性格だったし、自分の良いところを見せて褒められたい奴だった。
でも…彼女は違う…俺を頼ってくれた。
俺は自分がやっと彼女の特別になったような気がした。

彼女は本当に思いやりがあるし、優しい。
最近良く話しをするようになってわかったが、ピュアで表裏のない素直な性格ということ…

1人で歯を食いしばって啓太くんを育て、
あっちの家族にもイジメられながらも強い意志で家庭を守っていた彼女…
それなのに元夫からも理不尽な言葉で傷付けられた上に離婚届にサインさせられた。
彼女は大丈夫だと思わせるのが上手だが、実はそんなに強くない。
当たり前だ。彼女は元嫁みたいな夫とも張り合うような人では無く、家族を温かく包むような人だ。
そんな彼女を本当に愛おしく感じている。
偽装を本物にしたいという気持ちが強くなっている。
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