心の温度
結婚式へ向けて
知恵さんと悟さんの引っ越し手続きはお父さんとお母さんがしてくれて、2週間後の週末で行う。

私は招待状を作成しながら、ふと井上不動産の岸本さんが1人ポツンとなってしまうと思い、同期で悟さんを憧れている渡辺くんも招待してはどうかと相談した。
「渡辺なぁ…そうなると上司を呼ばないのに部下を呼ぶ事になるからなぁ」

「そうだね。じゃあ岸本さんには今度井上社長と副社長にご挨拶に伺う時にランチしようかな」

「ゴメンな。」

「ううん。良く考えたらそうだね。ゴメンね。」

「じゃあさ、1泊で向こうへ行ってさ子供達はお母さんとお父さんにお願いしてレストランで岸本さんと渡辺とご飯でも食べるか?内緒のディナー」

「上司には申し訳無いけど、あの2人なら私たちが結婚した事を内緒にしてってお願いしたら大丈夫な子だと思うんだ」

「ああ、渡辺もペラペラ喋るようなヤツじゃあないから大丈夫。 大輔と親父さんへの挨拶は自宅の方がいいし、啓太と七海も連れてくから」

「うん。」

「大輔の嫁さんは落ち着いた優しい人だし、お袋さんは明るい人だし、子供のユウくんは戦隊モノにハマってて面白いんだ」

「ふふふ。副社長が怪獣役なんでしょう?」

「そうそう。毎日やっつけられてるらしい」
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