悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました
14.真実の愛


「アシュトン様」

池は静かに凪いでいる。

とても静かな午後だ。

「本当のわたしをお話しします。よろしいですか?」

「ああ」

覚悟はできていた。
オーガスタスはオフィーリアを聖女だと言ったけれど、アシュトンの伴侶だと言ったけれど、それでも、本当の自分を話したら引かれるかもしれないし、嫌いになられるかもしれない。
だけど、本当の自分を隠して、隠し続けて、アシュトンのとなりにはいられない。
愛する人には嘘をつけない。

「わたしはかつて、『小田あずみ』という名で、こことは違う世界に生きていました。そしてそこで馬車のような乗り物に轢かれ、25歳で命を落としました。そして気づけばここに…オフィーリアとして、目を覚ましたのです」

アシュトンは落ち着いて、じっとオフィーリアに視線を合わせたり、池のほうを眺めたり、そして時々意見を言ったりもしながら、根気よく聞いてくれた。

この世界がかつて読んでいた小説の世界に似ていること。
オフィーリアがイザベルを殺し、それに怒ったアシュトンが自分を死刑にし、イザベルに似たミリュエルと出会い、恋に落ちる。彼女が癒しの力を持っており、聖女で、この国を救う。

そう言う設定だったという話も全てした。

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