悪徳転生公女の他国王太子妃生存計画~それでも王太子を愛してしまいました
8.愛を確かめ合ったら
初めてだったオフィーリアはもう身体を動かすこともできず、申し訳ないと思いながらもその日の公務は休ませ、アシュトンの部屋でコンコンと睡眠を貪っているはずだ。

昼まで公務に顔を出さなかったので、さすがにウォルターの機嫌はかなり悪かった。

「へぇ。俺がヤツの処理してる間にお前は楽しい時間を過ごしてきたってわけか」

「今日は許せ。俺もお前のことまで頭を回せなかった」

「まあいい。で?あの男の処分はどうする?イザベル嬢も言いつけ通り、地下牢に閉じ込めておいたぞ」

「男は死刑。イザベルは…」

なぜそうなってしまったのかと奥歯を噛み締める。
当初、アシュトンの補佐として王妃から推薦されたときはラングレーをよくしたいという気持ちを強く感じたものだが…

今は危険な香りしかしない。

そもそも王太子妃への暴行未遂を仕掛けるなど死刑に値する行為だ。

「イザベルも死刑だ」

「本気なのか?」

「ああ。王太子妃を陵辱しようとした罪は重い」

「そうだな」

生かしておけば危険だと本能が告げている。
イザベルは頭がいい。
もし辺境の地に追いやっても何がそんなに気に食わないのか知らないが、何らかの手段を使ってオフィーリアを追い詰めようとするに違いない。

裁判は開かれるだろうが死刑を求刑するつもりだった。

「嫉妬に狂った挙句…というやつだな。馬鹿なことをしたなイザベル嬢も」

「嫉妬?」

「ああ。まあお前は何も気づいてなかっただろうよ」

「どう言う意味だ」

「イザベル嬢はお前が好きだったのさ。平民だから身分差もあるしと最初は心の中で想ってるだけだったのがお前が重宝するもんだからエスカレートしたんだな」

「俺のことが好き?」

ほんとなのか?

「まあでも今思えば…そんな気もするな」

「鈍いからな。お前は」

「うるさいな」

「けど、その決断力はすごいと思うよ。昔から」

決断するときはする。
それは王家に生まれた者の宿命だ。

尋問をウォルターに任せてアシュトンは部屋へ急いだ。

オフィーリアに。会うために。
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