【SR】松嶋家の『殺意』
1.悲しき不満


「俺、誘拐されてみようかと思う
んだ。」


好物のピスタチオをポリポリ食べながら
松嶋 茂男(別名ホモ男)が言った。


一緒になって貪るようにピスタチオを
食べていた彼女の真紀子(別名ルー)
は、大きな目を更に飛び出しそう
な勢いで見開き、聞き返す。


「誘拐?
される予定、あるの?」


「お前…制服がピスタチオの殻だらけ
になってるぞ?」


可愛いと評判の私立高校の制服が
、確かに殻にまみれて悲惨な事に
なっていたのだが―――


「そんな話してんじゃないわよ!
耳遠いんじゃない!?
耳毛剃ってあげようか?」


「いや…いい。」


日常的に繰り返される毒舌に、う
んざりした表情で茂男は首を横に
振る。
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