年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
2.
 今日は楽しかったなぁ~

 そう思いながら、俺は家路まで車を走らせる。

 久しぶりに香緒に会って、そして香緒を撮った。そんな日が来るなんて思いもしてなかったから、人生何があるか分からないよなぁとつくづく思う。

 香緒と出会ったのは、もう16年程前の事だ。当時香緒は小学生で、性別を隠して女児向けの高級子供服の専属モデルをしていた。
 そして、それを撮っていたのは他でもない、俺が長年アシスタントをしていた司だった。

 まだ大学を卒業したばかりで、何でもするからと、半ば無理やりに司のアシスタントになった俺は、撮影に向かう香緒の送り迎えをするようになった。
 最初は全然喋ってくれなくて、何か尋ねても頷くだけか、希海がいれば希海に耳打ちして答えを聞くなんて普通だった。けど、段々と心を開いて笑ってくれるようになり、とても嬉しかったのはいい思い出だ。

 そんな香緒は、ある事がきっかけで小学6年生の秋にフランスへ家族と移り住んだ。そこから高校を卒業するまで香緒は日本に戻らず、香緒が日本に戻って来てからようやく再会した。それが8年前。
 でもそれから2年後、司がニューヨークで活動すると言い出して、俺もそれに着いて行く事にしたのだ。
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