年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
25.
 なんだかまだフワフワしてる……

 初めては痛い、なんて話はよく聞くけど、信じられないくらいに気持ち良かった。なんて言ったら引かれてしまいそうだ。でも、もうすでに我を忘れてそう口走ってしまっていて、急に恥ずかしくなる。

 温かい睦月さんの腕の中で、強烈な眠気と戦いながら、私はその顔を見上げる。

「……ありがとう。俺に初めてをくれて」

 睦月さんは微笑みながら私の額に唇で触れる。

「……私のほうこそ……睦月さんが初めての人で……よかった……」

 願わくば、私にとって最初で最後の人で、睦月さんにとって私が最後の人であって欲しい。
 私は重くなる瞼に逆らうことができず目を閉じながら思う。

 だんだんと遠ざかる意識の中で、睦月さんが何か言ったような気がした。私はただ、幸せだな……って思いながら眠りについた。


 ……っ!! 今、何時?

 終わったあとの余韻すらすっ飛ばし、私はあっという間に意識を失っていた。はっとして目を開けると、もう服を着て、ベッドの縁に座る睦月さんが驚いたように私を見下ろしていた。

「びっくりした。今起こそうかな? って思ってたところだったから」

 そう言いながら、睦月さんは私の髪を優しく撫でる。

「あ、の、今一体……何時……?」
「夜中の1時前。遅い時間だけど、お風呂入ったほうがいいと思って。お湯張ってあるよ?」
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