【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

四十三

 簡易コンロをグルのマジックバッグからだして、下味をつけたカツと唐揚げを揚げはじめる。

 みんなも持ってきたものを広げて、まだ夕方前だけどグルとエルモの婚約の祝いだと、酒を振る舞いだしたのだ。

「グル、エルモちゃん結婚おめでとう! 幸せになるんだよ」

「おばちゃん、俺たちは婚約したばっかりだって!」

 と言っても聞かない。
 

「「いやぁ、グルもとうとう世帯持ちかぁ、めでたい、酒がうまい!」」
 

 もう、グルと結婚した勢いの全力でみんなは祝ってくれる。
 

「グフフ、チタ! めでてぇ~弟が婚約したぞ!」

 一番大喜びはグレ、お酒がまわりチタちゃんと手を取って踊っていた。その近くで手拍子をするのはメロンパンさん? いつもパン屋にメロンパンだけを、大量に買いに来るお兄さんがいた。

 おばちゃんはメロンパンさんをみて。

「これは! 大精霊シルワ様……ワシらの村に帰ってきてくださったのですね。おかえりなさいませ」

 おばちゃんの一言でみんなはお酒を飲むのをやめて、メロンパンさんに頭を下げた。それはグルとグレ、チタもだ。エルモはまわりを見渡して、揚げ物をしながらみんなの真似をした。

(嘘っ、メロンパンさんって――大精霊シルワ様だったの? 乙女ゲームては話だけしかでてこなかったけど……精霊の森の守り神よね。私、失礼なことばかりしていなかしら?)
 
「そんなに、かしこまらなくていいよ」

 シルワと呼ばれた大精霊はパン屋にくるときのシャツとスラックスの姿ではなく、黒のスーツ姿にマントを羽織っていた。

 その出立は貴族のよう。
 彼はみんなに片手を上げて。

「みんな、久しぶりだね。グル、エルモさん、婚約おめでとう。二人の愛の力が木に生命力を与えて花を咲かせた。愛は素晴らしいねぇ……ところで、グル。いま魔力を使っても、体は辛くないんじゃないかな?」
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