【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

五十六

 リリアの姿をみて、グルはため息をついた。

「君にはハッキリ言わないと伝わらないみたいだな。君が白トラを助けようとしたとき、その森に住む精霊ーー白トラの友達が一緒に力を貸したんだ……それを君は自分の力だと思った」

 ――え?

「そんなの、嘘よ」

「嘘ではない。あと、君の"助けたいと願った思い"に感謝した大精霊シルワ様はさらに力を君に与えた……だが、白トラの心からの告白を君は冷たく断った。白トラはシルワ様のケンゾク――シルワ様は家族を傷付けられ怒り。そのことを知った、この国の森から精霊が消えてしまった……俺たちの村も君のせいでとばっちりを受けた」

「たかが、告白を断ったくらいで?」

「告白を断ったくらいだと?」

 リリアのその言い方に、グルの眉がビクッと揺れ、部屋の温度が急激にさがる。

〈やばい、さっきとは桁違いだ。グルが本気でキレる……エルモちゃん、部屋の温度がまた下がったらグルを止めてやって……止めないとグルが闇の力にのまれる〉

 闇の力?

 グルはギリッと、音が出るくらいに手を握り、みたことがない怒りに満ちた彼の体からさっきとは濃度が違う、黒い霧が漏れでているのがみえた。
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